と、その時。




ドーンドーン……ッ




突然、地面の振動と共に、耳に飛び込んできた大きな音。




それと同時に、窓の外に立つ安堂くんが声を上げた。




「あっ、見てみ、ひなちゃん!

花火がすげぇ綺麗!」




「わっ、ほんとだ…!」




顔を上げると、夜空に大輪の花火が咲いていた。




ふと、安堂くんの方に目を向ける。




すると、安堂くんの表情は、いつもの王子様みたいな笑顔に戻っていて。




安堂くん……。




もっと近づきたいと思ってしまうのは、だめなことかな……。




安堂くんは謎が多い。




なんで私なんかに優しくしてくれるのかも分からない。




なんで切なそうに笑うのかも。




きっと、私が知らないことの方が多い。




だからこそ、秘密のことも知りたいと思ってしまう。