だって、わたしには杏子の考えてることがわかっちゃうから。
一緒にいて苦痛に感じることなんてない。
むしろホッとするんだ。
「……ありがと」
「ううん……! わたしが男だったら、中身も含めて絶対杏子を好きになってる!」
「あはは……! あたしはやだなぁ、花梨が男だったら選ばないかもね」
「ええっ!? なんで?ひどいよっ」
「だって……優柔不断は嫌いなんだもん〜!」
いつもの調子を取り戻したのか、杏子が強気で言い返して来た。
それを見てホッとする。
杏子にはやっぱり、そうやって笑ってて欲しいから。
「杏子、わたし頑張ってみるね! だから、杏子も頑張って!」
わたしは前に進むために高野くんに告白する。
杏子と話して、やっとそう思うことが出来た。
前に進もう、前に。
「うん。あたしも頑張ってみる」
杏子の横顔は、なんだかスッキリしているようだった。
「「ぷっ」」
わたし達は顔を見合わせて、どちらからともなく噴き出した。
わたしはひとりじゃない。
杏子がいる。
杏子も頑張ろうとしてるんだから、わたしも負けてられない。
この短時間で心の距離がグッと近付いた気がした。