「なんで呪いの手紙だなんて言ったのよ〜! バカッ!」
言いたいことをズバッと言う杏子の毒舌にはずいぶん慣れたけど、それでも胸に何かがグサッと突き刺さった。
「だ、だって……覚えられてなかったんだよ?」
誰だってヘコむよ。
それに、振られる以前の問題じゃん?
「だとしてもさ〜! これから覚えてもらえば良かったんじゃないの? 偽るなんて、花梨の心がかわいそうだよ」
「だ、だって……」
周りに友達もいたし、バレたくなかったんだもん。
『あいつ、名前も知られてなかったんだぜ。かわいそう』とか『可愛くないから、海斗には似合わねーし』とか。
そんな風に思われたくなかったんだもん。
何よりも、周りの人に言いふらされたくなかった。
惨めな思いをしたくなかったんだ。