「おっ、色男の登場か。」


志賀と陽日は課は違うけど同じフロアの隣同士。 


営業と販促という事もあり、仕事上よく接点はあるらしい。


実は志賀も社内で密かに人気があったりして、この二人が並んで話している姿に女子社員達はうっとりしている。


まっ、私はそのどちらにもうっとりしないけどね。


「お疲れ様です、志賀さん。色男なんて止めてくださいよ。」


そう言いながらちゃっかり私達が座るテーブルに座る陽日。


て言うか、なんで私の隣なのっ!


四人掛けテーブルに私と志賀とが向かい合わせに座っていると言うのに、志賀の隣じゃなくてなんで私の隣なのよ。


まぁ、志賀も何も言わないから良いけど。


「志賀さん、確か同期なんですよね?」


と、陽日が志賀に問いかける。


「ああ、同期って…こいつとか?」


と、志賀が私に視線を向ける。すると、陽日が


「ええ、そうです。沙紀ーー」
「わーっ、さっき!そうさっきね、小鉢二つ取ってる人がいたかもっ!」


今、陽日、絶対に私の事、名前で呼ぼうとした。


質悪いなぁ……絶対、わざとだよね。


「はっ?小鉢2つ?つか、お前細かい事言うなぁ。どうせ、俺が取らなかったのが一つ余るわけだし良いんじゃね?」 


「そ、そうよね。でも食堂のおばちゃん数合わないと困るし……。」


「お前が食堂のおばちゃんみたいだな。ってなんだっけ?そうそう、このおばちゃんみたいなのと同期だよ。」  


「おばちゃんって余計っ!それを言ったらあんたもおっさん!」


「仲、良いんですね。お二人。」 


「「仲、よくなーいっ!」」


思わず、声が揃う。