「えー!

安堂くん、風邪で休みなの!?」




「安堂くんにお菓子作ってきたのにぃー!」




……うそ……。




私の顔から、さぁぁっと血の気が引いて行きます。




突然耳に入ってきた、廊下を歩く女の子達の会話。




帰ろうとして片付けていた教科書が、バサリと机の上に落ちる。




あ、あ、安堂くんが風邪引いて、学校お休みだなんて……!!




昨日私を庇って水を被ったせいで、身体を冷やしちゃったんだ、きっと…!




ど、どうしよう……!


私のせいで、安堂くんが風邪引いちゃったなんて……!




申し訳なさとショックで、開いた口が塞がらない……。




「あれ? どうしたの?

陽向ちゃん、顔色悪くない?」




不意に声が降ってきて顔を上げると、そこにはエナメルバックを背負った柊くんが立っていた。




少しだけ目を丸くして、私の顔を覗き込んでる。