声をかけてくる女子みんなに笑顔で挨拶をしていくこの男こそ私が苦手でたまらない一ノ瀬 頼斗(イチノセ ライト)




容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群、おまけに誰にでも優しい性格
まるでおとぎの国からでてきた王子様のような男子





入学当時から同級生、先輩から人気があり今ではファンクラブなんていうものもあるらしい





確かにいくら一ノ瀬が苦手な私にだって




あのキレイにセットされた茶色い髪や少し切れ長な目、形の整った唇、そしてモデルのような高身長を見ればかっこいいと思う




でも、どうしても苦手なんだよねー




やっぱりあの時のことトラウマみたいになっちゃってるのかな……




そんなことを考えながら一ノ瀬をボーッと眺めていると




一ノ瀬は女子への挨拶を終え、黒板を見て自分の席を確認した




そして私の方を見るとこっちに歩き出した




「えっ…?」




「おはよう、結城さん。
今日からよろしくね」




そう言うと一ノ瀬は私の隣の席に座った