小さく書いた、‘好き’の2文字


私は、慌てて黒板消しで消す



み、見られてないよね…?


おそるおそる、池田くんの顔を見ると
バチッと目があった




ひっ…!


頬が、かぁっと熱くなるのを感じて
慌てて顔をそらす



そのまま、日誌を手にしてドアへ向かう



「し、職員室に行くから…

 また明日ねっ」


裏返る声を抑えてそう言うと
教室を飛び出した





職員室に向かう廊下で
私は、大きくため息をつく



池田くん、私のこと
変な人って思っただろうなぁ…


泣いていたところまで
見られてないよね…?



「ばかばかっ」


頭をポカポカと叩いて
その場で、しゃがみこむ



見られちゃうなんて…
恥ずかしいっ





日誌をぎゅっと握ると
しばらく、私はそこから動けなかった…