「それにしても残念だったな」


「……何が」


「中田を逃がした事だよ。これでお前は俺等と一緒に居るしかなくなった」


「……あ」



そうだ。忘れてた。忘れてたよ。


中田が逃げた今、あたしには最早それしか選択肢が残されていない。


だって、



『……東條 凛音、鳳皇を潰すついでに手に入れてやる』



絶対に捕らえてやると言わんばかりの瞳で中田本人にそう言われたのだから。



中田が現れる前は一人でも大丈夫と思っていた。


けど、さっき連れ去られそうになった事でその考えが甘いのだと認識させられた。


さっきみたいな事が起きたら次こそは一人で逃げなきゃいけない。


いくら喧嘩が出来ると言っても限度がある。


どんなに頑張っても人数には勝てないんだ。


それに、運良く逃げられたとしてもまた狙われる。


爆笑男達と関わっているとバレた今、中田は絶対に諦めないだろう。


となれば答えは一つしかない。



「……分かった。アンタ達と一緒に居る」



こうするのが一番の得策なんだ。










「──ようこそ、鳳皇へ」




──いや、本当に良策だったのだろうか。


そう思わずにはいられない程不気味な笑みを浮かべている爆笑男。


にやり、と引き上げられた口角を見て、早くも了承してしまった事を後悔した。



……あぁ、これからどうなるんだろう。


先行きが不安っで堪らない。






こうしてあたしは、爆笑男達と行動を共にする事となったのだった。