その人はたしかに、まだそばにいる。

なんとなくだけど……あたしの顔を覗き込んでいるような気がする。

目を閉じていてもわかる。

視線を感じるのだ。


やがてあたしの肌はその人の吐息を感じた。

もうかなりの至近距離で見られているんだ……


そう思った瞬間……


唇に何かが触れた。



な……。

何これ……。


唇はすぐに解放され、やがて、その人も部屋を出ていってしまった。


廊下から足音がしなくなったのを確認して、あたしはガバッと起き上がる。


なっ……何? 今の……。


キス……

キスされたあああああああ!