それで石丸さんのことが好きになったんだな、とあたしは納得した。




石丸さんは本当に明るい人で、いつも笑顔を絶やさない。



鶴屋食堂で食事をしているときも、常に周りの様子を見ていて、いつも冗談を言ってみんなを笑わせていた。





でも、そんな石丸さんも、明後日には………。




考えると泣きそうだった。





俯いて涙を堪えていると、千代があたしの顔を覗き込んで、





「一緒に出撃の見送り行きましょうね」





と言った。





「特攻隊の方たちは、上からの命令で、ご家族にも出撃の日を知らせてないんですって。


もちろん代わりになんかならないでしょうけど………せめて私たちがお見送りして差し上げなきゃ」





千代の言葉に、あたしは思わずふるふると首を横に振った。





「ごめん………無理、行けない」





あたしの答えに、千代が目を剥く。





「え……なんで？ なにか用事？」