「おかえり、志帆」



ダイニングに入るとお父さんが声をかけて来た。


ちょうどみんなでご飯を食べようとしていたところだったようだ。



「おかえり」



奏太が可愛らしいふわふわした笑顔をあたしに向ける。


杏は、この奏太の笑顔がたまらなく可愛いって言ってたっけ。


まぁ、人懐こい性格ではあるけど。


小型犬みたいで可愛いし。



「どうも、お邪魔してます」



「あ、どうも」



奏太の隣に座る久間君は、爽やかに笑ってあたしに微笑む。


その爽やかさは、頭の中に誰かを思い出させた。


胸の奥が痛いのは、今はあんまり考えないようにしよう。