妃奈にはあの日の翌日にこれまでの経緯を全て話した。


妃奈も暴走族とかその辺は疎いらしく、噂は聞くけどよく知らなかったらしい。


普通はそうだと思う。一般人が暴走族と関わることなんてそうそう無いと思うし。


あたしだって貴兄と優音が暴走族に入ってるから知ってるだけで、そうじゃなかったらきっと関わろうとしないと思う。




「……よし、言う」

「え?」

「言うのよ、あの人達に!」

「えぇ!?」



あたしの問題発言に、妃奈がお箸で掴んでいた唐揚げをポロッと落とした。


そんな驚かなくても。



「り、凛音ちゃん、それって直接?」

「モチッ!ビシッと言わなきゃ分からないでしょうが」

「あ、そっか……」



そう零した妃奈の表情は唖然としていて。
そんな顔ですら可愛いだなんて反則ですよ妃奈サン。



「じゃ、今から言って来るね!」

「えっ!?今から!?」



食べかけのお弁当を手早く終い、文句を言いに行く準備を始める。



「うん。こう言うのは早い方がいいでしょ?ホラ、ちょうどあそこに見張り役の人が数人居るし」



クイッと親指で右方を指差すと、「あ、あそこにいたんだ」と何故か感心するようにほぅと溜め息を吐き出す妃奈。


あーもう、可愛すぎる。


妃奈を見ていると怒っているのが馬鹿らしく思えてくるから不思議だ。