けど、それ程に遥が居ないと無理。


「あ、翼!行ってくるね!」


制服姿の遥が髪をくくりながら階段を駆け下りる。


「ん、いってらっしゃい」


そう言うとピタっと立ち止まった。


じっと俺を見つめる遥が一瞬泣きそうな顔になる。


「は?」


その泣き顔を理解出来なかった俺は拍子抜けた声を出す。