二人で笑い合って話していると、やはり、感じる視線。

 チラチラと。
 あらゆる角度から。

 「……このパーティ会場に入ったときから思っていたのだけれど…なぜ私たち、見られているの?もしかして目立ってる?」

 「ああ、俺が女といるからじゃないか?あと、お前の美しさに見惚れてんだろ。ようは俺もお前も目立ってるってことだ」

 美しさ……ねぇ……。



 今まで自分の容姿に無頓着だったから見た目なんて気にもとめなかったが、怜曰く私は美女らしい。
 しかも極上の。

 それを聞いたとき心底どうでもいいと一蹴したが、こんなときにその言葉を思い出した。



 あなたたちが美しいと見惚れている女性が、実は何万もの兵を屠った血にまみれた冷酷な女なのよ、まさに美しいという言葉とかけ離れている汚れた女なのよ。

 ……と、無意識に思ってしまう。

 人を殺すことになんら疑いもないし罪も感じていないけれど、心が冷えるのは否めない。



 「カロッサの今夜の装いは一段と綺麗だからな。最初に見たとき、俺も見惚れた」

 「…そう」

 声のトーンが低くなるのは仕方ない。

 「…お前、変な勘繰りはよせ。ただ単に、お前を褒めたかっただけだ」

 「あなたのことで勘繰ってなんてないわ」

 「……帰るか」

 「そうね…」

 空気が悪くなる前に話を切り上げる怜と私。

 実は性格が似ているのかも……。