「これが証拠だし、今すぐに政府の特別情報省に問い合わせして欲しい。霧島慶二氏は居るかどうか!」

 
 雷也がすっと携帯をオレの背中から差し出した。


 『例の動画』の再生ボタンを押す。雷也がセットしてくれていたようだ。


 また動画を観るのは嫌だが、仕方ない。


 『ザッ』


 『ザザザッ』


──画面は砂嵐を映し出す


「何も映らんじゃないか。証拠があるんだろう?」


 ……どういうことだ。なぜ再生されない。


「……消されたね」


 雷也がポツりと呟いた。


「待ってよ! おじさん、本当にあたし達見たんだよ!! お願いだから問い合わせしてよ!! でなきゃこの警察署は善良な市民の意見も聞かないって言い触らすからねっ!」


 愛梨が強い口調で叩き上げを問い詰めた。


「お壌ちゃん、そこまでにしておきな。脅迫罪でしょっぴくぞ」


 刑事の眼光が鋭く光る。椅子を座りなおした雷也は、相当頭に来ている。


「子供だと思って、刑法第222条くらい知らないとでも思ってるんですか? どこが脅迫なんですか、バカにしないで下さい! 僕達は本当に見たんです、『特別情報省』に確認だけでもお願いします!」


 3人とも語気が強くなってきた。


 オレ達が幻を見てるならこのサイト『モバイバル』に書いてあることも全部嘘になる。