「とりあえず、こんなところだよな……まだ本戦とはなんなのか、それすら分かってないけど。サイトにも出場おめでとう以外、何も書いてないし」


「分からない事はたくさんあるよ。ただ、一つ言えるのが決勝戦が10月5日と記載されていたことだよ」
 

一つだけ記載されていた新しい情報。


『決勝戦は10月5日』


 皮肉にもオレの誕生日だ。


 最低最悪の日になりそうな予感しかしない。


 だが、今はそんな事、どうでもいい。
 

「今日が…一日のもう朝6時だよ。本戦っていうのが何人参加するのか分からないけど……5日まで時間はないよね…」


 愛梨も雷也も疲れ果ててている。

 
 顔色は悪いが、目だけが鋭い眼光を保っている。オレも頭がズキズキする。


「なんにせよ、警察に行こうぜ。もう6時か…一眠りして行きたい所だけど、気になって気になって眠れないな……」


「よし、ご飯にしよう。二人ともお腹空いたでしょ? 簡単に目玉焼きとか作ってくる」


 雷也が空元気を出し、微笑んだ。


 実の兄貴が殺されて、一番辛いのは自分のはずなのに。
 

 オレの中の雷也はもう少し弱い人間だったはず。


 女の子のようにめそめそするかと思いきや意外と思い切りがいい。




 もう、何も考えたくはない……吐き気が、ずっと止まらない。