オレは気恥ずかしく加藤さんにお礼を言う。



「さ、帰るぞ。帰ってAVでも観ないと」



 加藤さんも恥ずかしいのだろう。


 前を向いてつぶやいた。



「まだ携帯ショップはやってるから、これから登録だけしてきなさい。月々の代金くらいは払えるだろ?」


「ええ、それくらいなら……大丈夫です。本当にありがとうございます」



 加藤さんは強めにアクセルを踏んで中央通りを進む。



 俺は加藤さんの横顔と、持っている携帯電話を交互に見つめていた。



 なんだか……気恥ずかしいや。



 しかし、10月を迎える秋の夜風が心地いい。



 オレの体に心地よいまどろみが降りてきた。