手が、震える。
『好きな……ひと?』
屋上で、先輩の顔を真っ直ぐに見て、言った。
負けそうになったけど、言わなくちゃ。
『うん。先輩と全然会えなくて寂しくて悩んでた時に優しくしてくれた男の子がいるの』
『…………』
『その人には好きな人がいるのもわかってるし、ただの友だちって言われてるから叶わないことも知ってる』
言葉をひとつずつ選ぶようにしゃべる。
『……だけどどうしても彼の笑顔が頭から離れないの。私はきっと彼のことが好きなんだと思う。こんな中途半端な気持ちじゃ先輩の彼女ままでは……いられない』