「お疲れ様でしたー。お先に失礼します」 「お、一之瀬さんお疲れ。あれ、なんか急ぐことあんの?」 バタバタ慌てて道具を鞄にしまう私を見て、先輩に問われる。 「はい、ちょっと…!」 ちゃんと答えられないまま、私は飛び出して行った。 「あーなるほど。主任か」 「羽瀬さん先上がってたもんねー。いーな。ラブラブで」 出て行った後で、そんな会話があったのを私は知らない。 とにかく、急いでロビーまで降りて駐車場に向かった。