「ミオちゃんは誰かにあげるの?本命チョコ」
「ふふ、私はね、バイトの先輩にあげるんだ!先輩、すごく優しくて背が高くてカッコいいの!」
「へぇ~……」
恋する乙女の顔で先輩を語るミオちゃんはすごく可愛かった。
「明日は土曜日だけど、私も先輩もシフト入ってるから会えるの!今日は帰ったらチョコ作らなきゃ!」
「頑張って、ミオちゃん」
恋してる女の子って可愛いなぁ。
すごく幸せそうでいきいきしてる。
私もいつかは恋するのかな……?
私に彼氏とかまったく想像できないけど……。
その日の全ての授業を終え、私はカバンを持ってミオちゃんと教室を出た。
「愛維、バイバイ」
「ばいばーい!」
校門の前でミオちゃんと別れると、一人で通学路を歩き始めた。
「バレンタインかぁ……」
そういえば今朝もテレビでバレンタイン特集やってて、すごく美味しそうなスイーツいっぱい出てたな……。
あんなの、私が作ってもらいたいぐらいだよ~……なんて言ってるうちは、絶対好きな人なんかできないな、私。