そのことをお母さんに教えられたのは、小学一年生のある朝。
『黙っててごめんね』
泣きながら告白されたけど、あんまり覚えてない。
ベッドの上でぼんやりと聞いた事は、耳をすり抜けていった。
何を見ていいかわからず、やけに色鮮やかな点滴の色だけを覚えている。
邪視とも言うらしいそれは、まさに殺戮兵器らしい。
――目と目があったものを呪う。
そういう眼らしい。
それは、意思によって強さが変わる。
故意的に睨んだりすれば、最悪死を与えてしまう。
『他人を恨んじゃダメ』
繰り返し繰り返しお母さんに言われていた訳は、そういうことだったのだ。
邪眼は遺伝するものらしく、お母さんも邪眼だ。
5歳の時に死んだお父さんは違うらしいけど。
不純なものを嫌い、
薬は効き過ぎてしまう。
そんな特殊体質の私は、本日中学生になる。
ケータイ小説 野いちご
シンデレラの一族
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