「めっちゃイケメンじゃない?」

「すっげぇ、美形…」

まるで芸術品のような宝石みたいな彼。

彼の写真を撮ってそのまま美術展に出品したらどんなに撮るのが下手な人でも確実に最優秀賞を取れるだろう。

クラス中があまりにも整いすぎている転校生にどよめく中、ゆっくりとこちらに歩みよってくる。

らりと私と視線を交わすも、そのまま素通り。

彼はそのまま私の後ろの席――すなわち、美麗の隣の席に座った。

「…げ」

美麗が小さく毒づく。

全員の注目を一身に浴びながらも決してぶれない凜とした威厳と威圧。

いつの間にかHRは終わり、休憩タイムに。

しかし誰も仁に近づくことは愚か、話しかけることさえも出来なかった。

普通、転校生というものは質問攻めだろうに。

仁の纏っているオーラ全てが周りのものを拒んでいた。

まるで、時間が止まったかのようだ。

……これじゃあ、“普通の高校生”という設定が台無しじゃない。