ケータイ小説 野いちご

五つの顔を持つ私



でも。

「条件があるわ」

「条件?」

可愛らしく小首を傾げる空。

思わず抱きしめたい衝動に駆られるけれど。

「仁を今の高校に転校させて」

「なんで?」

「仁も私と同い年よ。小学校も中学校も行ってないんだから少しぐらいは青春を謳歌させてあげたいじゃない?」

十何年間も武器庫に閉じ籠ってた。

一時期は植物状態になったこともあった。

少しぐらいは。

校長という役職に囚われる前に。

どうせ、校長になってからも武器庫に閉じ籠ってめったに出てこないんだろうけど。

普通の学生として過ごしても罰は当たらないんじゃないだろうか。

もちろん、これは仁だけじゃなく空にも言えることなんだけど。

でも、ほら…、空は事情が事情なだけに外には出れないし…。

「んー…。わかった!」

「ありがとう、空」

満面の笑みを見せる空に私もつられて少しだけ微笑んだ。




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