「原田さんがお呼びでしたよ」


山崎さんは手を忙しそうに動かしながらそう言った


たぶん私がずっとここにいても邪魔だよね…

私は山崎さんが言うとおりに

左之さんのところへ向かうことにした



「お呼びでしょうか?」


ふすまを開けると

さっきと変わらない左之さんが私を待っていた


"よっ!"なんて余裕な表情をしながら手招きをしている


さっきまで刀を振るっていたなんて思えないくらいだ



「ちょっとこっち来いよ」



平助くんとは違って"ニッ"と白い歯を見せて笑うのが左之さんだ


ふすまを閉めて一歩部屋へ入ると

彼は自分の膝をポンポンと叩いて

そこに座るよう合図する


え、ええ…?

座れって言われても…


「あーもう焦れってぇなあ」


左之さんの前に突っ立って

どうしようかと悩んでいると

タイムオーバーだった


彼は私の腕を掴んで

無理やり"そこ"に座らせたのだった


ど、どうしたらいいの?

ていうか突然何…!?



左之さんはあぐらをかいて

私は彼の足と足の間で体育座り

体は後ろからしっかり抱きしめられていて

全く身動きができない



左之さんのぬくもり…匂い…

そのあまりにも近い距離は

くすぐったくて恥ずかしいけれど

何よりその温かさが優しくて仕方なかった