「8分57秒や!凄いやないか!俺、お前がほんまにここまで頑張るとは思わんかったから、ビックリしたわ。ほんま、凄いやつやな、お前は!」






誉めたおす溝口先生に照れている掬恵。






これまで邪険にされた扱いを受けた事は多々あるけれど、今までの人生の中でこんなに人から誉めてもらった事はなかったので掬恵はとても幸せを感じていた。





──誰かから、誉めてもらうということはこんなにも心地が良いことなんだ。




掬恵の表情が穏やかになる。




溝口先生が掬恵に次の課題を出した。




「あのなー。悪いけど、ランニングが終わった部員達にそのお絞りを配ってきてくれへんか?ほな、俺、ちょっと、トイレへ行ってくるわ……」