僕の頭は混乱する。


落ち着け。
落ち着いて整理しなければ。


「つまり」


僕はこめかみに手を当てて、呆然と言った。


「……俺の父親は、桜子にとっての育ての親でもあるわけだ」


「そういうことだね」


「じゃあ昨日病院で出会ったのも、俺たちが同じ状況にあったのも」


「必然ってわけ……」


「……」



重苦しい沈黙が部屋に充満する。


僕らふたりの動揺ぶりに、叔父もかける言葉を失っていた。


雨の音は途切れることなく響き続け、
部屋の中までじんわりと染み入ってきそうだった。


「それにしても……」


小さな声で桜子が言った。


「私たちのお父さんは、かんじんな事を何も子供に話さない人だったんだね」


まったくだ。


僕らは視線を合わせ、

奇妙な連帯感で同時にうなずいた。





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