はっと息を飲み込んで驚き身を引く掬恵。





それもそのはず、自分と年の近い男の子に手を握られたのは生まれて初めてのことだったからだ。





「行くって、どこにいくの……?」






掬恵と目線を合わせず床を見て俯いたまま話をしようとする周翼。






「そんな、怯えた顔で俺の事を見ないでよ……。今日は、ちょっと一緒に行きたい所があるから」






具体的な説明がないだけに不安がる掬恵。






「えっ・………………」






周翼に引きずられるままに歩く掬恵。






掬恵が疑心暗鬼の眼差しでずっと周翼の背中を見ている。






──私をいったい何処へ連れて行こうとしているんだろう。







学校の長い廊下を抜けて別館の建物へ。