「さすがお城。豪華だなぁ。」


こんなところ、日本じゃ見られないよ。


ゴージャスな部屋に対する感嘆とともに、別の感情も浮かび上がる。



「帰りたいなぁ。」



いくらぼやいたところで変わらない現状に嫌気がさしてくる。



「よしっ!帰りかた探そっ!!」


何故かこんな状況におかれても、涙は一滴も流れなかった。泣けば自分が哀れになる気がしたからだ。だから、髪の色のことでいじめを受け、親に捨てられようとも、決して涙は流さなかった。