ねえ、佐伯先輩。


 少しだけ、訂正させてください。


 やっぱりあたし、『たまに』くらいじゃ、時間足りないかもしれないです。


 もっともっと亜希と一緒にいて、近くで笑っていたいと思うから。


 卒業後、きっとあたしと亜希は別々の道に進むんだと思います。


 友達って関係は切れなくても、今までみたいにそばにいることはたぶんできません。


 あたしより長い時間を過ごすのは、これから先の未来、佐伯先輩なんだと思います。


 今は離れたところにいても、いずれ一緒になるんだろうって確信があります。


 だから……。


「夏休みも、それが終わってからも、卒業しても。いつだって会えるよ。それで、遊ぼうね」


 千夏と純子、それから七種も誘ってさ。


 そう言えば亜希は嬉しそうに微笑んで、言った。


「離れる未来なんて、想像できないね」


 うん、あたしも同じ気持ちだよ。


 ふたりで眺めた教室からの夕焼け。


 身体はオレンジ色に染められた。


 先の未来を、初めて想像した日。


                       【end】