俯く掬恵。
行きたい所は?って誰かに聞かれたら、私なんか家の自分の部屋ぐらいしか今は思い付かない。
──いったい、坂口くんが行きたい所はどこなんだろう。
周翼がルーズリーフを一枚取り出して絵を描いている。
・小さな魚
・プリンを逆さまにしたような山の絵
・ボーリング
・映画館
・カラオケ
・飛行機
短時間の間にさらさらと6個の絵を描き終えた周翼。
全部の絵は凄く上手いが、ただ小さい。
どれも私のこの手の親指の爪の中に収まるサイズの絵だ。
もっと大きく描けば良いのにというのが掬恵の本音だ。
周翼が自分の描いた絵を指差しながら掬恵に説明をし始める。