「ちょっと、花音!どーしたの?なんか今日、雰囲気違う。髪切ったの?」


こいつは佐久間 唯(さくま ゆい)。


花音はどうやら、こいつと特に仲がいいらしい。


「うん、切った」


姉貴が通っている美容院に行ったんだ。


なかなか腕が良いと思う。


「ちょっと!メイクもしてるの?しかも、めちゃくちゃ上手いじゃん」


俺様をナメるなよ。


俺は手先も器用なんだ。


「最近どーしたの?みるみる痩せていくし、なんか綺麗になったよ」


魂の中身が変わるだけでこうも人間って変わるんだなって、俺もビックリしている。


要は扱い方の違いなんだ。


入れ物である身体に、どれだけ敬意を払えるかって事なんだ。


「美倉さん」


振り向くとさわやかな俺の親友、恵介が立っていた。


「ちょっといい?」


キャーと顔を真っ赤にする佐久間を横目で見つつ、俺は恵介と教室を出た。