一年の中で太陽が最も高く、昼間の時間が長い日を『夏至』と言う。


今日はその夏至だ。


この日を境に、どんどん日が短くなるんだよな。


「ねぇ海司。

海司はさ、どういう女の子が理想なの?」


突然の花音の言葉に、眉毛がピクッと動いた。


理想の女?


それは…。


「完璧な女…かな」


もちろん俺の基準で、だけど。


「そんな子いるかしら?」


「まぁ、いないだろうな」


そう言って、フッと鼻で笑った。


でも俺は諦めない。


いつか絶対見つけるんだ。


俺にとっての、完璧な女を…。



その時だった。


「危ないっ!」


「「えっ?」」


誰かの叫び声に振り向くと、俺と花音の間に猛スピードで突進して来る一台のバイクが見えた。



甲高く擦り切れるタイヤの音。


ドドドドと唸るエンジン音。


それらが辺りに大きく鳴り響いて。


その直後、



身体に激しい衝撃が走った。