私は、吉井 掬恵(よしい きくえ)。
高校に通う3年生。
私の名前の掬恵という名前は、ひいお婆ちゃんの菊乃(きくの)という名前から一字をもらってつけてもらった名前。
私の母親方のひいお婆ちゃんは勉強も裁縫も優秀で非の打ち所がないぐらい本当に凄い人で、
とても美人な芸子だったという話を良く母親から何度も耳にたこが出来るぐらい聞かされた。
前に若かった頃のひいお婆ちゃんの写真を見させてもらった事があるが、
本当に息が漏れる程の色白で美人な人だった。
私の名前の候補は3つほどあり、両親がなかなか決められなかったので、最後は神社に行って決めてもらったそうだ。
女の子らしく、将来は必ず幸せになれる名前、──掬恵。
そんな両親の願いが込められた私の名前。
だけど、自分の名前が凄く嫌になった時期がある。