髪の毛をくしゃっと握りしめると私を見上げて「ダサいな、俺」って無邪気な笑いにボッと顔が熱くなる。


握られたままの手にチカラがこもる。


たまった唾を飲み込んで、私も先輩と目線を合わせるようにしゃがみ込んだ。



「先輩も、緊張したり、するんですね……」


「するよ!好きな女の子とラインなんて心臓もたないから!」


「え!?そうなんですかっ?」


「……引いた?」



上目遣いなんて、かわいいです、先輩。


自分と同じことを思っていたなんて、嬉しくて、そしておかしくて笑えた。



「ふふっ、引かないです。もっともっと好きになりました」



汗びっしょりになりながらも、ボールを一生懸命追いかける先輩が好き。


笑った先輩が、好き。


こんな風にかわいい先輩も、好きで。


先輩のぜんぶが好きになった。


先輩を傷つけるものからぜんぶ守りたくて、そばにいたいって思ったんだ。



……清瀬くんのラブレターみたいに、純粋なキモチでした。



なのに、いつから私たちはすれ違ったんだろうね、先輩。