「浄火、これ、どうやって入るの? 急がないと子作りマシーンが来ちゃうよ」
「階段で甲板まで上がるんだ」
「階段? ないじゃん。そんなものどこにも」
船底部分を手の平でスリスリと撫でながら、あたしはキョロキョロ探した。
それにしても、これって漆塗りの木造船だとばかり思ってたけど違うのね?
この手触りは木じゃない。
冷たくてサラサラしてて・・・うーん、ゴムか?
ありがたい貴重な宝船が、ゴム製?
なーんか夢も希望も無いわね。現実ってこんな、もの・・・
ん?
あたしは眉間にシワを寄せ、ゴムに顔を近づけた。
そして、指先で何度もグニグニと強く押してみる。
これって・・・ゴムって言うよりもウロコじゃないか?
弾力があって、妙に凸凹感がある・・・
―― グニッ!
あたしが指で押していた部分が、突然グニュグニュッと蠢いた。
・・・へっ!? なに!?
ビックリして手を引っ込める。
蠢く部分が、まるで波紋が広がるようにどんどん広範囲になっていく。
やがて船底全体が、生き物のように脈動し始めた。
この船、生きてる!? 船全体が生きているんだ!
っていうか、膨大な数の同じ生き物が集合して船の姿を形どっている!
冷たくて、ゴムみたいな感触で、ウロコみたいな生き物?
グニグニと、動、く・・・?
・・・・・・・・・・・・。
明確に『それ』がなんであるかを認識したあたしは、その場で絶叫した。
「これってぜぇんぶ、ヘビぃーーー!?」