口では文句を言いながら満更でもなさそうな佐伯君に、みんな興味津々だった。

これ、確実回ってくるパターンだよね……!




「……で、まぁ別れちゃったんだよねー。高校離れたらどうせ続かなかったろうし、あれでよかったかなって」

「すげぇ、なんかかっけー!」



佐伯君の話が終わり、話を進めていた男子が私を見た。

嫌な予感──は残念ながら的中してしまい。



「そう言えば峰はどうなの?」



恐れていたことが、現実になった。

みんなの視線が私に集まり、顔が熱くなる。



「峰さんってほんとに前田と付き合ってないのー?」

「それ思ってた!お似合いだよねー」



やだ……。

私は、誰にも知られない小さな恋を守りたいのに。



「付き合えばいいのにねー」

「ほんとのとこどうなの?」



逃げ出したい、そう思ったとき、目の前に現れた後ろ姿。

そのときはまだすぐにはわからなかったけど、何故だか泣きたくなったの。



「はい、ストップ。お前等、話進め過ぎ」

「なんだよ隆太郎!」

「なんかかっこいいぞ前田ー」