「一翔は部活やってるの?」

「んー…一年の時バスケ部やってたけどやめた。」

「なんで?」

「…なんでって…顧問がうざかったから。」

一翔は肉じゃがを食べながらいう。

「…え?これ梨華作ったのか?」

「え?うん。私だけど…ま、不味かった…?」

梨華は恐る恐る聞く。

「逆だよ逆!うめぇ…やばい…お前ぜったいいい嫁なれる!!俺が保証するわ!!」

一翔はそう言い箸をどんどん進める。

「ありがとう。」

梨華は笑いながら言う。

「あんまり長居したら悪いから食ったら帰るな。」

一翔はそういい食べる。

「居てもいいのに…」

「梨華のご両親に悪いし。」

「お父さん遅いし、お母さん帰ってこないからいいよ。」

「親父さんなにやってんだ?」

「自営業。」

梨華はそう答える。

「ほらな。言ったお嬢様だって。」

一翔は満足そうに笑う。

「そんな偉くないし…」

梨華はムッとした顔で言う。

「それでも感謝だな。」

一翔は笑顔で梨華に言う。

(そんな顔しないで…。感謝なんて…)

梨華は胸が痛んだ。

「…じゃぁ。ごちそうさま。ありがとう。」

一翔はそういい家を出た。

「あのままずっといてくれればよかったのに…」

梨華は暗い道を歩く一翔を見送りながら呟く。