「あ…梨湖…」

(私だってそんなの知ってる。心配なんてしないって思ってるよ。

でも…してくれたんだよ?そこにいたならわかるでしょ…?

ちゃんと思ってくれてたんだよ。)

梨華はそう思った。


 ――――翌朝――――

「おはよう!お父さん。」

いつも以上に元気な声であいさつができた梨華。

「学校に行くのか?」

浩輔はいつもと変わらず新聞を読みながら聞く。

「うん。テスト近いから…。」

梨華はパンを食べながら答える。

「もうそんな時期か…。そうか前回すこし落としたからな…。

今回は頑張れよ。」

浩輔はそういいカバンを持って家を出ようとした。

「あ、待ってお父さん!」

「?」

「一緒に…行ってもいいかな?」

梨華は今まで言えなかった言葉を浩輔に向けて言った。

「あぁ。いいよ。たまには行こうか。」

いつもの浩輔なら「気を引こうとしているのか?気色悪い」なんていう。

それを今日は「いいよ。」なんて言った。

梨華はその言葉を聞いて笑顔になった。

それが…あんなことになるとは…