まだ何かを言いたそうだった絹糸が、思い直したように口をつぐんでしまった。


あたしが言い出したら聞かない性格なのを知ってるし。


納得できないなら、できるように行動させてやろうと考えているのかもしれない。



「じゃが実際、どうするというのじゃ?」


手の中から小さな頭だけをチョコンと出した絹糸が、クィっと首を傾げる。


「岩の父も、遥峰の母も、当事者はとうに墓の下じゃ」


「ふたりと親しかった人とか、誰かいるでしょ?」


「事情が事情じゃからのぅ。親しいからと言って秘密を打ち明けているとは限らんぞ?」


ふーむ・・・確かに。


そもそも里のみんなのノンキな様子からして、この重大な秘密を知っているとは思えない。


「でも、誰かひとりくらいは・・・」


「知ってる可能性がある人物が、ひとりいるだろ?」


「浄火!?」


いつの間にか、浄火が背後に立っていた。


うわ! 会話に夢中で全然気がつかなかった!