「…だから」

 だから、叶わない。

 こんな奇跡の願い方ではなにも。

 「…わかってくれたかい?」

 「はい…お医者様」
 
 お医者様は折れた杖を気にもせず、私とルヒルの頭を交互に撫で出て行った。

 「…あなたも諦めてるの?」

 「僕はもう助からないから、その分姉さんに生きて欲しいんだ」