「俺!」



びっくりした。

おっきい声。

あたしが軽く自己嫌悪している間に達郎は気合い入れてたみたい。



「俺、さ。ずっと杏奈のこと好きだった」



今度はさっきより抑えた声。

伝わる緊張感にドキッてした。



「好きって、どこ。
あたしのどこが好きなん」

「え。その。
明るいところとか、話しやすいところ、とか」



答えられへん質問したあたしは意地悪やったけど。

でも、こんな。

他の告白してきたヤツらと同じような理由しか言われへんってなんなんやろな。



「だから俺と付き合って。下さい」






いつやったかな、達郎に告白される夢を見たことがある。

そん時も、ずっと好きやったって言ってくれて、夢ん中のあたしは大胆にもぎゅって抱きついたりして。

「大好き」って心から叫んだ。



でも、それは夢でしかないから、その後すぐに目が覚めてほんまがっかりした。

悲しかった。






今は、ほんまの話。

夢とちゃうくて、現実。



せやのになぁ、なんでかな。

今の方が泣きそうやねん。






好きって言われてんのに、おかしいやんな。