「なんだよ、またあの女かよ」


そして例のごとく機嫌が悪くなる和希。


凌牙があたしに肩入れすればするほど、面白くないらしい。


あたしに煙たそうな目を注ぎ、凌牙のあとを追うように階段を昇っていく。




心臓が、バクバクする。


和希に睨まれたからじゃなくて。




黒髪になった凌牙は。


それはそれで良く似合っていて、ある意味総長としての風格が増した気がした。


こういう世界では、金髪の方が悪そうでいいのかもしれないけど、こっちの方が断然いい。


落ち着いていて、それだけで柄の悪いヤンキーじゃなくなる。


少し幼さを醸し出しながらも、男らしさは格段に増した気がして、妙な胸の高鳴りを抑えるのに、あたしは必死だった。