自殺なんて冗談に決まってる。


だけどここに放置されて、中に入らないわけにもいかない。


どこかをふらつくとしても、このあたりの地理は全然わからないし、そんなことがバレたらすごく怒られるはず。



「はぁ……」


凌牙が中に居るという、コンクリートの塊を見上げた。



……何をどう話せっていうの?



『大翔とは付き合ってない』



そもそも凌牙とも付き合ってないから、わざわざ訂正するのもおかしな話。




あたし、凌牙の女じゃないし。


……まだ……。




単なる緊張だけじゃない、初めて感じるドキドキを胸に。


あたしはゆっくり鍵穴を回した。