昔の事を思い出している間に、あいつは俺を通り越して出入り口をでようとしていた。

「おっおい!」
「ふぇ?!」

つい大声で叫んでしまった。
彼女はとても驚いた表情でこちらを見ていた。

「ごめ、つい。これ、おまえのだろ」
「え?あっどこで?!探してたんです!ありがとうございます!」

それじゃ!と言って再び歩き出す彼女。
せっかく美華に会えるかもしんねーのに、そのチャンスを逃がしたくない。

「なあ!名前、教えろよ」
「名前ですか?鈴木 遙花です。またどこかでお会いできたらいいですね!では」

そう言って彼女は帰っていった。