「でも、俺は妃鞠だけは渡さない」


「彼女だから?」


「そうだ」


廣クン、あたしは浮気しないなら全部が好きなの。

だからお願い。

あたし以外の人を見ないで…。


「ほら、妃鞠ちゃんだけを愛してあげなよ。

って言っても俺が奪うの、早いかもね」

それだけを言うと、手を振って行ってしまった。


「…馬鹿」


きゅっと廣クンに抱きしめられる。


「どしたの…?」


「しらねぇよ…、他のヤツなんかみやがって」


「廣クンはいつも見てるじゃんか」


「…浮気じゃねぇーもん」


そういって、離される。


「とにかく俺以外見んな」


「うわ…横暴すぎ」



教室に鞄を取りに、廣クンと一緒に戻った。

放課後の教室は誰もいなかった。