見れば見るほど美男子だ。

少し長めの髪の毛、切れ長の瞳

私が島原にいた頃、絶世の色男、と噂されていた。
ーーもっとも、私の中の色男は原田さんだと思うけれど…

「娘、名を述べよ…」

ーーグイッと彼は私の顎をつかみ上を向かせた。
視線が交差する

「鈴音…と申します…」

「ほう、鈴音…鈴音とはもしや…島原の鈴か?」

「…」

なるほどな、と将軍は呟いた

「島原一の女を一目見ようとしていた矢先、島原を去ったと聞いて残念に思っていたがこんなところにいたとはな…
鈴音、お前は噂以上に美しい…顔も、声も…きっと…心も身体も…」

「おい!!!!」

いい加減にしてくれねぇか!と土方さんは2人を引き剥がした

「ふん…鈴音、明日の夜文を送ろう。そしてその日から2日時間をやる。良い返事を期待しているよ」

去り際に彼は私の耳元で囁いた
〈賢いお前なら分かるだろう。幕府の犬なぞ、簡単に蹴散らすことができる〉
ーーと。