きっと町の様子を見に来たのだろう
そこには将軍である上様の姿があった。
ーーっ!
目が合った気がした…
将軍は私を見てそばに居た従者に耳打ちをし、その従者は私達に向かって一直線に歩んでくる。
ーー気のせいじゃなかった…
「そこの娘、上様がお呼びだ」
従者は美しいお前が気に入ったらしい、と付け加えた。
「ーーなっ!」
土方さんは私をかばって前に出る。
その光景をみた将軍は目を細め、馬を降りて私達に歩み寄る。
上様っ…そう従者達はざわめく
「上様よぉ…すんませんが、こいつをどうするおつもりで?」
「その男…名を名乗れ」
「新撰組副長、土方歳三」
「ほう…土方歳三、俺はその娘を嫁にしたいと思っているだけだ。今すぐ…手に入れたい」
「なっ!!」
驚いたのは土方さんだけでなく、私もだ。
彼の視線は私を捉えた。