家政婦さんまでいて安く済むわけないし、貯金もないあたしがこんなところに住まわせてもらっていいんだろうか。


居場所が欲しい。

それは願ってもないこと。


でも、贅沢な暮らしを望んでいたわけじゃない。



「おいおい説明するから。俺はこれから行くところがある。優月は家でゆっくりしていて」


車は家の前についていたようで、あたしの体の前を腕が横切った。


ガチャっと扉が開く。


「……分かりました」


開けられたドアを前にあたしは降りるしかなくて、半ば放り出されるように外へ出た。



また走り出す車。


それが見えなくなるまで見送って。



ふと、自分の足元を見る。


あたしの人生の歯車は、どこに向かっているんだろう……。