これは、『あたしの』結婚話なんだよね?


なのに本人の意向を完全無視って、ありえなくない?


そこが一番重要な問題なんだよ。


そう、あたしがこう言いさえすれば、すぐにこの件は終了すべきなの。



「あたしは、この人と結婚なんかする気はありません。お断りします」



―― ザワザワザワ・・・!


途端に、大広間中に盛大なざわめきが走った。


あたしがビビってしまうくらい、場がドヨドヨと混乱している。


当主たちは全員、言葉で言い表せないような驚愕した顔であたしを見ていた。


「当主会議の命令に、逆らうだと?」


「気でも狂ったか。何様のつもりなのだ」



命令? いや、何様って言われても・・・。


あたしは目を丸くしてキョトンとするばかり。


そんなあたしの反応と、当主たちの反応を見比べながら、仲間たちが小さなため息をつく。


「だから逃がしたかったのに・・・」


凍雨くんの悔しそうな小声が聞こえた。