「兄貴のことなにも知らねークセに。知ったらお前だって……」


「和希ッ!!!」


テルさんの怒号に、ビクッと和希の肩が震えた。


遮ったのは、まずいを話させるのを止めようとしたからだというのは、明らかだった。


いくら突っ張ってる和希でも、テルさんには敵わないのか、それ以上口を開くのをやめた。


横に短く息を吐いて、仕方なさそうに特攻服のボタンを留めた。



「行くぞ」


ちょうど着替え終わった和希の背中をテルさんが押す。




……何を言おうとしてたんだろう。




話の続きが気になったけど


「優月も」


チラリと視線を落とされて、黙って2人のあとについて行った。